わらわら図鑑第一回[1998年6月25日]
正直先生presents 現代わらわら図鑑
the world of warawara
わらわらとは……数え切れないほど多くの物・人が狭い空間の中で蠢いている様

 正直先生は、多くのものが一カ所に集まっている様にいつも異常に心を動かされる。というか何故かそういう場所に足を運んでいる。人混みが好きなわけではない。たとえばゴハンを食べに行って、うまいと評判の店でもすごく狭苦しい感じだったりしたら、まずそうでも誰もいない店のほうで食べる。いくら景色がいい場所でも人がたくさんいたら、景色もなんにもなくても人のいない空間でくつろぐ。ま、言ってみれば結構人混み嫌いなわけである。  
 人が狭い場所にたくさんいるのは嫌いだ。でも狭い場所にいろんな物とか虫とかがいるのは好きなのである。たとえば浅草寺の境内。あそこにはいやになるほどわらわら鳩がいる。その光景は面白さと恐怖の入り交じった複雑なものである。それを追っかけたりするとばたばた鳩が飛び立っておかしい。子供みたいなことしてるが。
 そして私がスリランカで見たわらわら象。祭りの時にお寺に入ろうとしたら一匹象がいた。へー象がまつりにも参加するんだ。と思って後ろを振り返ったら、1キロ(そんなには長くなかったかもしれないけど体感的にはそんな感じ)ずらーっと象が並んでいたのだ。これには参った。象がわらわらいる。おかしい。すごい。なんかいい知れない感動だった。
 というわけで前置きが長かったが今月から正直先生は、たくさんのものが集まっている場所におもむきながらその感動の意味を考えてみようと思うのだ。ここで「わらわら」な感じをより一層つかみやすくするために、今回はいままで正直先生が出会ったわらわらな光景のいくつかを紹介しよう。

1 目玉わらわら


 これは随分昔に正直先生が買ったもの、肌につける粘着剤つきの小さな目玉のおもちゃである。パッケージのボウズの人が頭のいろんなところに目玉をつけているのが気持ち悪い。目玉のおできだ。数の点ではわらわら度はひくいのだが、その気持ち悪い面白さでは群を抜いている。それにしても目って一つでも怖い。ふたつだと普通。三つだとさら怖い。それがさらにたくさん集まると面白くなってしまうのは何故か。同じように鼻がわらわらあったらいやだとか、耳がわらわらあったらいやだとか……段々グロくなってきたのでここらでやめておく。

2 マックな人わらわら


 これは昨年MacOS8発売日深夜の祭りの時に採取したわらわらである。ま、ようするにマックが好きな人たちが集まっているわけだ。なんか異様な熱気で気持ち悪かった(ま、私もそこに行ってたわけだけど)。何々好きな人……というのは集まってしまうとどうして気持ち悪い感じを醸し出してしまうのか? 同じように趣味を同じうする人のわらわらとしてはコンサートとかコミケとか巨人VS阪神戦とかがあるが、なんか半端な制服みたいにみんなわらわわ同じような感じの服きているのが気持ち悪い感じがする。その最大なものは日本のサッカーのサポーターなのだが。

3 演歌わらわら


 これは屋上毎日でも紹介した大阪通天閣タワーしたの通天閣劇場の壁にはってある演歌のポスターわらわらである。これはものすごい「怨念」のようなものを感じてすごかった。ポスターひとつひとつにそれを張ったファンの思いが込められていて、強烈な雰囲気をだしている。これは生き霊わらわらといってもよい。にたようなものに五百羅漢とか三十三間堂とかもあるが、ここが一番生々しい。生な感じのするわらわらではナンバー1である。

 まだまだ正直先生のわらわらコレクションには工業用ロボットが数十台旗をふっている「ロボットわらわら」とか長野・安曇野で見たわさび田の「わさびわらわら」とかいろんなものがあるんだが、今回はここらでやめておく。とにかく正直先生は「たくさんのものが蠢いているところ」を探しに旅に出る。ちなみにこの旅の成果は正直先生が作っている「ねぎ」というデジタルコミックマガジンにも発表している。いわゆるメディアミックスというヤツだ。みなさんからも「こんなわらわらな光景を見た」というレポートを送って欲しい。お待ちしています。

Copyright 1999 Koide, Hirokazu
コイデヒロカズ